「DVDで見るアニメ映画ベスト5」アメリカTIME誌より。
タイム・マガジンTIME Magazine (8月8日発行)掲載記事。リチャード・コーリス著。
60年代以降、『鉄腕アトム』などの日本のテレビアニメは世界の子供たちに冒険の物語やコメディを提供し続けてきた。そして日本のアニメ映画はその高い視覚的芸術性で現在世界に知られている。
紹介するのは面白さ保証の傑作日本アニメ映画5本。
(要約)
『パーフェクト・ブルー』はイタリアのダリオ・アルジェントのサスペンス・ミステリーに影響を受けた大人向けのスリラー映画だ。このアニメには観客にショックを与える実写映画の技法が取り入られ、官能的でありながらも薄気味悪さを漂わせた映像を作り上げている。まず『パーフェクト・ブルー』の気味悪さを楽しんで欲しい。それから同じ監督の『千年女優』を見る事をお勧めする。『千年女優』は実写日本映画へのトリビュート作品。
アニメ界で最も著名な人物である宮崎駿の傑作『千と千尋』は精霊たち*1の銭湯が舞台。色々な種類の霊たちが現れ勇敢な千尋に罠をかけようとしたり、そこから救い出そうとしたりする。その様子はルイス・キャロルのファンタジー・ワールドや、ダンテの描く詩的な冥府のようでもあり、観客自身の中の子供の部分が画面に釘付けにされるだろう。
『はだしのゲン』真崎守
50年代に製作された日本の怪獣映画は原爆の標的となった世界で唯一の人々が大衆文化の形で創造した原爆の象徴だった。しかし『はだしのゲン』はあの爆発前後の広島を生きた少年による回想の物語である。焼けた死体の臭いが見るものに迫ってくるようなこの映画は子供向けではない。国家的悲劇の痛ましさを描いたアニメ。
『アキラ』以来の作品となる『スチーム・ボーイ』で大友は1860年代のロンドンを再現した。その古風な町並みを背景に複雑な陰謀が繰り広げられ、悪人たちは19世紀当時の先端技術を手中にするため主人公を追う。(そのチェース・シーンの幾つかは素晴らしい。)
『アキラ』大友克洋
ディストピア的未来を提示する『アキラ』によってアニメは急速にその存在を世界へと知らしめることになった。『ブレード・ランナー』と同じ2019年に設定されているこのネオ東京の物語を見た観客は「ウォシャウスキー兄弟は『マトリックス』の構想を練っている時に『アキラ』を見ていたのでは?」と思うかもしれない。*2