日本アニメのアメリカでの成功を支えた灰色マーケット

(8月20日に記事の一部を訂正しました。

アメリカで一番売れたアニメDVDは累計で『カウボーイ・ビバップ』だそうだ。まず下のアメリカ・アマゾンの二つのページを見て欲しい。
Cowboy Bebop - The Perfect Sessions (Limited Edition Complete Series Boxed Set)
Cowboy Bebop Complete Sessions Collection

Cowboy Bebop Volume 1
どちらもアメリカ・アマゾンで売られている『カウボーイ・ビバップ』のDVDボックスセットだが、最初の方はとっくに製造が終わった限定版*1マーケットプレイスで買おうとするとこの写真と同じ仕様の海賊版が送られてくる、とのこと。しかもDVD売上順位は海賊版が8月15日現在で881位。正規版が1449位である。
サンライズでは海賊版DVDにご注意ください!と自社のHPで注意を呼びかけているが、実際このような大手通販サイトでも海賊版が売られている*2。(→コチラはマンガの英語版『カウボーイ・ビバップ海賊版では無い。)

先月アメリカのサンディエゴで行われた世界一のコミックス・コンベンション「サンディエゴ・コミコン」で二人の海賊版DVD販売業者が逮捕された。コミックスが続々映画化されハリウッド映画とコミックス業界との関係が深まっている事を反映してか、アメリカ映画協会のために働く調査員が地元警察と連携してコンベンション会場で海賊版販売者を捕まえたのだ。

ICv2の記事によると、絶版になった古いビデオやアメリカで手に入らない海外のビデオ・DVDは長い間コミックスやSFコンベンションの定番品であった。ただ今回はアメリカでもうすぐ発売予定の『スター・ウォーズ』最新作などのDVDが売られていたことで逮捕につながったらしい。

今回の逮捕が今後業界全体に影響を及ぼすのか?コンベンションの運営者たちは海賊版など不法な商品にもっと目を光らせるようになるのだろうか?

ICv2はこれらの質問に明確にイエスと答えない。それというのも、現在の日本アニメのアメリカでの隆盛は80年代、90年代の灰色なマーケットの輸入品の存在無しにはあり得なかったから、というのがその理由である。正規品の入る前に流通するファンによる字幕付きのファン・サブビデオの存在も同様で、単なる黒か白かの問題では無いというわけだ。

ファン・サブの是非は現在でも北米アニメ掲示板で発熱した議論を巻き起こす。ファンサブ肯定派の意見は「ファン・サブが無かったらどのアニメを買っていいかわからない」言い換えると「ファン・サブを見て初めてDVDを買う気になる」というものだ。

アメリカのアニメ販売会社の中にはインターネットで流通するファン・サブを取り締まるところもでてきた。しかし現在のところ業界一斉にという動きは無いようである。

追記:
…とアップしたところで日本発の関連記事発見。
米映画大手、中国で海賊版一掃作戦・正規版の値下げも(日経)

*1:訂正:このページに掲載されている商品は存在する。ただもう生産されていないので新品を手に入れるのは難しい。

*2:アメリカのヤフオクであるEbayの海賊版率の高さはよく知られている。