アメリカでのDVD売上落ち込みとともに、アニメから撤退する店舗が増える?

ICv2"Analyst Sees DVD Sales Decline"(11月8日)より要約。

アメリカのDVD市場を調査したGoldman Sachsによると、ここ数年華々しかったDVDの売上もとうとう下降線をたどり始めた。そして一番の痛手を受けるのは市場の40%を占める旧作DVDになりそうだ。

現在アメリカの80%の家庭に浸透したDVDの市場を支える一番の消費者は、どうやら昔の映画やTVシリーズのお気に入りコレクションをある程度既にそろえてしまったようである。旧作映画やTVシリーズDVDはこれからも続々発売されるかもしれないが、ごく最近の映画を除いて高い売上を望むのは難しいかもしれない。

Goldman Sachsの報告によると、DVD売上は2005年度には10.2%の増えているが、それは2003年度の51.4%や2004年度の33.3%に比べると殆ど無いに等しい数字だ。そして予想では、2006年度の売上個数は1.2%しか上がらず、2007年度では8.2%下がるということだ。

もちろん他の要素―例えば『ライオン・キング』なみのヒット作品や、高画質次世代DVDの成功―で、過去の売上幅が維持されることもあり得る。ただ、今までの劇場での興行成績から判断すると、近い将来『ライオン・キング』級のヒット作は登場しそうもないし、新しく登場する高画質DVDのために数年で消費者が現在のDVDを手離すとも思えない。

DVD販売会社が、売上を伸ばそうと隙間産業の消費者を狙ってくることも考えられるので、特定の分野のポップ・カルチャー専門店には売上を伸ばす機会かもしれない。しかし、このまま旧作DVDの売上が落ち続けると、大型箱型店舗は間違いなくその商品の品揃えを最新作のDVDにしぼってくるだろう。既にその傾向はターゲット(Target-大型家電&ソフト量販店)がアニメDVDから撤退したことに表れている。

アニメDVDは現在、市場過剰供給状態と言われている。しかも全体のDVD発売点数増大と共に店舗の棚を巡る苛烈な競争もあり、アニメDVDの見通しは必ずしも明るいばかりではないようだ。