「少年ジャンプUSA」発行VizMedia副社長インタビュー(1)「少女向けアニメと少女マンガ雑誌」
リクエストにお応えしてVizMeidaの副社長リザ・コッポラ氏インタビューの要約を掲載。その第1回目「少女向けアニメと少女マンガ雑誌」。
ICv2"Interview with Viz Media VP Liza Coppola: Part 1 TV Hits, Shojo, and the Viz Anthologies"より。
Vizのマンガ『ナルト』『鋼の錬金術師』は、今年TV放送が始まったこともあって大ヒット。その勢いは来年に入っても衰えそうもないが、来年のVizの作品にこの2シリーズに続く可能性を持ったものはあるか?
Vizには沢山の可能性を持った作品がある。来年は今年より「少女ビート Shoujo Beat(Vizの発行する少女マンガ雑誌)からもっとヒットが出るだろう。『デスノート』の売上にも満足している。既に発売されたマンガで、今後のTV放送がマンガの売上を押し上げそうな作品もある。『ハガレン』の小説もとてもよく売れているし、キャラクター・ブックやアート・ブックなど、アニメ化されたマンガの関連商品をもっと広げていく予定がある。
少女マンガはアメリカで売上を伸ばしているが、少女向けアニメはそうではない。4kidsは少女向けアニメを若い視聴者に向けて実験的に放送しているが、少女向けアニメをアメリカでどう進めようと考えているか?
少女向けアニメは「少年ジャンプUSA」とそのアニメ作品と同じようになると考えている。(「少年ジャンプUSA」では)マンガが人気のところへ、アニメ放送が始まった。まず少女マンガを雑誌「少女ビート」と単行本を通して浸透させ、最終的に「少女ビート」のアニメということになると思う。最初に「少女ビート」レーベルで出る単行本は『下妻物語(英語題名:Kamikaze Girls』)。*1
多くのアニメが少年をターゲットにしたアクションものだ。少女向けアニメに需要はあるが(マーケティングが)難しい。ただVizには強力な作品がある。例えば『下妻物語』などは、小説、マンガ、ビデオなど総合的に一つの作品として売り出していくことで上手くだろう。
少女向けアニメの需要はTVにあると思うか?
その調査が行われているのは知っているが、実際結果が出ているのかどうかわからない。放送する側は少年向けの作品の方を好むようだが、マンガの女性読者層が存在することにも気がついている。それは少女向けアニメの可能性を示しているものの、今のところTV局が完全に納得する作品は無いようだ。しかし、TVは無理でもホームビデオ、ビデオ・オンデマンド、iPodなど他にもやり方はある。Vizでは度々市場について会議を開いている。ホームビデオ市場のあり方、アニメがその市場にどうはまっているか、どのようにテレビ以外の媒体を使えるか、放送局と提携するかなど、様々なやり方を模索している。
エピソード毎に配信するやり方は考えているか?
現時点では何も言えない。様々な媒体を検討しているが、まだ何も決まっていない。日本の親会社とも相談しなければいけないし、現在は様子を見ているところ。
Vizでは何本ものマンガが一つにまとまった形式(アンソロジー)の雑誌「少年ジャンプUSA」と「少女ビート」を発行しているが、「雑誌で読者にマンガを紹介し、後に単行本にまとめる」という雑誌の役割は日本と同じだと思うか?
思う。Vizは日本のモデルを踏襲している。売り場もスーパーやコンビニに広げている。日本では雑誌に掲載されても単行本にならないものもあるが、「少年ジャンプUSA」や「少女ビート」に載っているマンガは必ず単行本になって出版されることになるのか?
ケース・バイ・ケースで扱う。雑誌に掲載されても単行本にならない作品もあれば、雑誌に掲載されなくても単行本になる作品もある。
「少年ジャンプUSA」と比べて「少女ビート」の反応はどうか?
「ジャンプ」は創刊されて3年経つし、「ビート」はまだ今年の夏に創刊されたばかりで単純に比較できないが、サンディエゴ・コミコンやアニメ・エクスポなどのコンでの反響は大きく、図書館員からも良い反応を得ている。少女マンガは数年前までは全く売れていなかったが、この1年で状況は変わった。今は多くの人に少女マンガを出版していることを感謝されている。