「少年ジャンプUSA」発行VizMedia副社長インタビュー(3)「アニメDVDとファンサブと価格」

VizMeidaの副社長リザ・コッポラ氏インタビューの要約第3回目「アニメDVDとファンサブと価格」。

ICv2 "Interview with Viz Media VP Liza Coppola:Part 3 Cut or Uncut Anime, Fan Downloads, DVD Pricing"より。

VizはアニメTV版とコレクターズ・エディションの2種類の『ナルト』DVDを時間をおいて発売する。どうしてこの二つのDVDの間に時間差があるのか?

それは単に発売許可を得た時の事情だ。販売経路によってノーカット版か編集版か好みが分かれる。そこで最初にTV版を出すことにした。TV版の方がより大きな市場を対象にしているからだ。それから少し遅れてコレクターズ・エディションのノーカット版を出す。こちらはファンにアピールするだろう。

『ナルト』に関しては、多くの消費者から反応がきている。アニメ・エキスポに参加した時は、質問の2つに1つは「ノーカット版は出るのか?」というものだった。多くのファンが心配しているのは『ナルト』がカトゥーン・ネットワークのために編集されすぎているということだが、『ナルト』非公式ファンサイトNarutofan.comからは良い反応をもらっている。ファンが心配するほど多く編集したりしないとはっきりファンにメッセージを送りたい。

皮肉屋なら「Vizはマス・マーケットを対象とするTV版を最初に出して、コレクターが最初にTV版、次にノーカット版を買うことを期待している」と言いそうだが?

皮肉屋だったら?

それとも、賢いマーケティング担当者なら…

(笑)Vizも他社同様多くの販売戦略をとっているが、だいたい他社がやっていることと大差無い。しかし問題は全ての販売経路がノーカット版を扱ってくれるわけではない、ということだ。もしノーカット版を先に出したら、ウォールマートやターゲットなどの大きな販売ルートに入っていけないだろう。

どうしてTV版とノーカット版を同時に発売しないのか?

問題は棚のスペース確保だ。数々の分析を通してTV版を先に出すか、ノーカット版を先に出すか、それとも両方同時に出すか検討してきた。そして『ナルト』に関しては、先にTV版を出すという結論になった。

Vizのファンサブに対しての公式見解はあるのか?『ナルト』のファンサブは長い間ネット上にあり、何か対策が取られるという噂も聞いているが。

ルーカス・フィルムから総合弁護士を引き抜いたのは、このファンサブ問題に対応するため。現在のところファンサブに対する会社としての公式スタンスは未定だが、非公式な見解としては『ナルト』などの作品がファンに愛されているのは嬉しい。これから会社内でももっとディスカッションを重ねるつもりでいる。将来的にはファンが集まることができ、非公式サイトでは得ることのできない情報を得られるサイトをファンと協力して作っていきたいと考えている。

DVDの価格に関してだが、大手量販店では大幅なディスカウントが行われ、ネット上では違法なダウンロードが行われている。特に後者の“無料”に勝てる値段は無い。そして多くの会社がアニメのDVDパッケージを変え、新しく廉価商品として販売を始めている。来年VizはDVD価格に関してどう取り組んでいくのか?

市場の状態を観察しながら決める。実際ウォールマートから質問も(価格に関して)受けている。みんな運命共同体なのだ。業界の他の会社がどうしているかも把握しながら、新作、旧作にどうやったら付加価値を付けられるか細かく検討しながらやっていくつもりだ。もし価格を下げる必要の無いときは、下げずに別のやり方で付加価値を付けていくだろう。現在は小売店とも協力し、波状的な戦略を行っている。

波状的とは?*1

商品の店内ディスプレイに取り組んでいる。『犬夜叉』では、波状に商品を小売店に投入し複数種類の商品、例えば雑誌、本、DVDなどを置きまとめて売った。『ナルト』でも同じことをやり、今回初めて『ナルト』の1巻から7巻まで全部本屋に一緒に並べることができた。もっと商品を目立たせるためにできる事に取り組んでいる。

まだ続く。次回は最終回。

「少年ジャンプUSA」発行VizMedia副社長インタビュー(1)「少女向けアニメと少女マンガ雑誌」

「少年ジャンプUSA」発行VizMedia副社長インタビュー(2)「マーケティング戦略」

*1:コッポラ氏はcorrugationという単語を使っている。