バンダイ・エンターテイメント、ファンサブ(違法コピー)に対して法的手段を取る、と強い口調で警告文。
ANN経由バンダイ・エンターテイメントのプレス・リリースより。
とうとうバンダイがファンサブに対して動く決断をしたようだ。ネット上に流通するファンによる字幕付きアニメ、通称ファンサブは常々その正当性が問題視されていたが現在までのところ、なくなる気配は全くない。
しかし今回バンダイは法的手段も辞さないとの態度で臨むと警告している。もちろんアニメ業界がファンサブ・グループに警告文を出したのは、これが初めてではない。当ブログでも「北米アニメ販売会社、ファンサブグループに警告文」でファニメーション社があるファンサブ・グループに警告文を出していたことを伝えたし、その他の企業の対応も「北米ファンによる違法翻訳コピーの行方」の記事に簡単にまとめてある。
しかし今回のように特定のグループ相手ではなく、ファン・コミュニティ全体にハッキリ「法的手段」と明記して警告文を出した会社はあまりなかったような気がする。バンダイは以前にも『ガンダム』の違法コピーを止めるようファン全体に対して警告したが、摘発したのはコンベンションなどで売られていた違法コピーだけだった。しかも今回は不特定多数のグループに対して、特定の作品『攻殻機動隊:Solid State Society』を対象にしたかのような内容だ。
(以前にも今回のような不特定多数を対象とした警告文があったかどうか、もし知っている方がいたら教えていただけると嬉しいです。)
業界サイトICv2でもこの件を伝えていて、その記事の見出しは「バンダイがファンサブに対して戦線布告(Bandai Declares War on Fansubbers)」。
この警告文に対して、アニメのニュースサイトANNの掲示板では、ANNというニュースサイトの性質上か、バンダイの対応を当然としたり、バンダイを応援する意見も多く見られるものの、ネット上からファンサブを一掃することには懐疑的な見方も多い。しかし人気作品を抱えたバンダイがファンサブに対してハッキリ立場を表明したことの意味は大きいと思う。今回のバンダイの立場表明がファンサブの隆盛に一石を投じるか?
↓バンダイによるプレスリリースの要約。
(8月22日)
バンダイ・エンターテイメントは今日、ファン・コミュニティに対して警告文を送った。その警告文の示すところによると、バンダイは、まだリリースされていない『攻殻機動隊:Solic State Society』も含む、バンダイ所有の全作品の違法なファンサブ、その他の海賊版の製造・流通について、観察を行ってきた。
いくつかのファンサブ・グループは、日本でリリースされ次第『攻殻機動隊:Solic State Society』のファンサブを製造・流通させると既にサイトで公言している。しかしバンダイ・エンターテイメントとマンガ・エンターテイメントは、アメリカにおけるこの作品の独占流通権を保有している。
この作品の翻訳版製造は不当な模倣行為とみなされ、その作品の知的所有権の侵害であると同時に不正競争となる。更に、公式ライセンスや所有権を持つ者の明確な同意に基づかないアップロード・ダウンロードは著作権、商標権、その他知的所有権の侵害となり、従って違法行為となる。
バンダイは自社の所有物への投資を守る手段を取る必要があり、法的審理の進行も含め、違法な流通を止めるためにできる、あらゆる手段を取るつもりでいる。もし法的手段を余儀なくされた場合、法定損害賠償、またはそれに加え売上の損失を補う損害賠償も考慮に入れている。
「売ることによって利益を得ている業者のみならず、ファンサブもわたし達の所有物、そして業界全体に対して有害です。わたしたちは『攻殻:SSS』の権利が侵害されないよう、観察を続けるつもりです」バンダイ・エンターテイメントのプレジデントであるケン・イヨドミ氏はそう語った。「もしこの警告が無視された場合、ファンサブをする人々や違法なダウンロードなどの流通サイトに対して法的手段を取る用意があります」
『攻殻機動隊:Solic State Society』はバンダイ・エンターテイメントよりアメリカでは2007年に発売予定。この件に関してもっと情報が欲しい方はバンダイ・エンターテイメントのサイト(英文)へ。