アメリカ版『少年ジャンプ』を発売するVIZによる、米メインストリーム市場への取り組み。

米版『少年ジャンプ』である『SHONEN JUMP』や、『NANA』などを連載する少女マンガ雑誌『SHOJO BEAT』を発売するVIZ MEDIA。最近は『ナルト』『Bleach』などの人気作品を抱えてアメリカのマンガ市場での存在感は以前にも増して大きくなっている。

そのVIZによる一般読者層を狙った戦略に関する2つの記事が相次いで発表された。

一つはパブリッシャー・ウィークリー誌「VIZがボーダーズやホット・トピックと独占契約(Viz Inks Retail Pact with Borders, Hot Topic)」(10月19日)で、もう一つはICv2「ナルト・ショッピングモール・ツアー10月から開始('Naruto' Mall Tour:Starting in October)」(10月23日)

一つ目の記事は、VIZがアメリカでのアニメとマンガのライセンスを保有する人気作品『Bleach』の関連商品を、大手書店「ボーダーズ」ティーン向け洋服+雑貨を扱う店として全国展開する「ホット・トピック」の両社のみで独占的に販売する契約を交わしたというもの。(独占と言っても、VIZのHPでは同じ商品が購入できるようだ。)上記の記事の中で「ホット・トピック」のシニア・バイス・プレジデントの発言が取り上げられていて、それは「ホット・トピックのお客さんの中には『Bleach』のファンがもうたくさんいる」という趣旨のもの。

「ホット・トピック」では既に一部の『ナルト』関連商品の独占販売を行っている。その『ナルト』に続いて『Bleach』でも一部関連商品の独占販売契約ということは、『ナルト』商品の売上が期待から大きくはずれることがなかった証明かもしれない。

前回の『ナルト』の時もそうだったが、今回の独占販売契約もマンガの関連商品を発売するコミックス専門店の間ではちょっと不興を買っているようだ


二つ目は、VIZが11月の初旬からアトランタを皮切りに各地のショッピングモールで「ナルト・イベント」を開催する記事。

「イベント」参加料は無料で、複数のステーションに分かれて様々な催しが行われる予定。例えば「ニンジャ・アカデミー」では忍者の技術や対術を学べ、「チャクラ・チャレンジ」では『ナルト』カードゲームを遊ぶことができる。その他に『ナルト』TVゲーム、『ナルト』マンガ教室、グリーン・スクリーンの前で『ナルト』の舞台を背景に写真を取ってもらえるコーナーが設けられ、アメリカでまだ放送されていないアニメのエピソードも一部上映される。スタンプを決められた数以上集めると、他では買えない『ナルト』グッズの入ったスペシャル・バッグがもらえる特典も。

いずれの記事もショッピング・モールや「ボーダーズ」「ホット・トピック」など、一般層への露出度が高い場所が舞台。VIZの目指す方向性は明確だ。

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