米マンガ出版社Tokyopop、包括的レイティング・システム導入(その1)

業界向けニュースサイトICv2の2月20日の記事「Tokyopopが包括的レイティング・システム立ち上げ (Tokyopop Launches Comprehensive Rating System:Starting in the Fall)」から要約。

アメリカ大手マンガ出版社の一つTokyopopが、今年の秋からマンガに対してかなり細かいレイティング付けを実施するようだ。

Tokyopopはその創立10周年記念祝の一環として、かつてないほどの包括的なグラフィック・ノベルに対するレイティング・システムを実施する準備を進めている。Michelle Gorman氏*1の助けを得てTokyopopが作成しているのは、グラフィック・ノベル業界全体を反映したものになるだけでなく、そのレイティングのそれぞれに詳細な解説もつくというかなり徹底したレイティング・ガイドとなり、ゲーム業界のエンターテインメントソフトウェア審査機構(ESRB)の行うレイティング に近いものになるようだ。

Tokyopopのレイティング・ガイドには5つの年齢層に分けられた、40以上の内容表示マークが入る予定。そして2007年の秋から、レイティングのマークと様々な内容表示マークがセットになって、本のカバーに印刷されることになる。対象年齢を出しているだけの現行のレイティング・システムもTokyopopによって始められたが、新システムのほうが本を手に取ろうとする人に、本の内容についてより多くの情報を与えることになるだろう。

今、アメリカのマンガのレイティングは、それぞれの出版社がそれぞれのマークで対象年齢を表示する形で行っている場合が多い。例えば『げんしけん』『のだめカンタービレ』(以上Del Rey)『Samurai Deeper KYO』『ちょビっツ』(以上Tokyopop)は「16歳以上」、『ラブひな』(Tokyopop)は「13歳以上」、『シュガ・シュガ・ルーン』(Del Rey)は「10歳以上」。『Death Note*2(VIZ)は「十代後半向け」。内容によっては更にビニールがけをして売られることもある。例えば『バジリスク』(Del Rey)は「成人向け」マーク+ビニールがけで売られた。

現在の対象年齢表示のレイティングをTokyopopが始めたとは知らなかったが、このICv2の記事には、他のマンガ出版社がこのTokyopopによる新システムを導入するかどうかは、明らかになっていない。日本のマンガがこれからもっとアメリカ市場でメインストリーム寄りになっていくと仮定すれば、業界全体としてのレイティングへの取り組みはこれからあってしかるべきだし、むしろ遅すぎているとも言えるのかもしれない。

当ブログ2月23日のエントリー「米マンガ出版社Tokyopop、包括的レイティング・システム導入(その2)」に続く。

*1:Michelle Gorman氏:『Getting Graphic』の著者。図書館員。作家。グラフィック・ノベルを使って若者の読み書き能力を高める運動をしている。

Getting Graphic: Using Graphic Novels to Promote Literacy With Preteens and Teens (Literature and Reading Motivation)

Getting Graphic: Using Graphic Novels to Promote Literacy With Preteens and Teens (Literature and Reading Motivation)

*2:Death Note』はVIZの中でもSignature Lineという高めの年齢層向けのレーベルとして発売されている。