アメリカ新興マンガ出版社、自閉症の子を持つ親のリクエストをうけて『光とともに…-自閉症児を抱えて-』英語版を出版。

フランス最大の出版社Hachette Livreのアメリカ支店であるHachette Book USAのグラフィック・ノベル専門の新レーベル「Yen Press」が、来年から北米でマンガ雑誌を創刊することは以前にもこのブログでお伝えした(「アメリカでマンガ雑誌、新たに創刊」)が、そのYen Pressのエディターが、2007年9月に『光とともに…-自閉症児を抱えて-』を出版するとマンガ情報を扱うブログ「MangaBlog」で明らかにした

そのエディターの語ったところによると、出版を決めるに至ったのは英語圏自閉症児を育てている親から英語版の問い合わせが相次いだため、とのこと。

現在北米では日本のマンガの多くが、日本の単行本とほぼ同じ大きさの右開きのフォーマットで流通しているが、この『光とともに…』は通常のマンガより大きめのサイズで左開きでの発売になり、自閉症を持つ親または関心のあるプロに向けて、本屋のマンガコーナーではなく「子供の発育」コーナーに置かれることになるということだ。

このニュースが掲載された「MangaBlog」のコメント欄にはこの本に期待する好意的なコメントが数多く寄せられている。

個人的には多様なマンガが北米で発売されるのは歓迎すべきことだと思う。売上リストやアニメ・マンガファンの語りにはあまり登場しないが、実際本の専門誌PublishersWeeklyの選ぶ2006年のベスト10マンガの6位には『プロジェクトX:日清カップヌードル編』(生田正脚本・木村直巳画)』が選ばれるなど、北米でもノンフィクション・マンガの出版も若干行われ評価を受けている印象だ。このジャンルはこれから伸びる余地があるのではないだろうか。

しかも現在アメリカでは、ビル・コスビー他の有名芸能人が自閉症児の問題の社会的認知度を高める活動を行うなど、自閉症と診断される子供の数の増加が大きな社会的関心を集めている。その点でもYen Pressの『光とともに…』出版の商業的判断は正しいのだろう。

↓Yen Pressから英語版が9月に発売される『光とともに…-自閉症児を抱えて-』。

光とともに… (1)

光とともに… (1)