私屋カヲル氏の『こどものじかん』、内容に対する非難を受けてアメリカでの発売延期。
当初今年の4月に予定されていた私屋カヲル氏の『こどものじかん』のアメリカ発売が延期されたようだ。当ブログでも取り上げたように(『こどものじかん』アメリカ発売決定で、「アメリカで発売して大丈夫?」)ライセンス取得発表時から、アメリカではその発売に対する是非が議論になっていた。
『こどものじかん』英語版をアメリカで発売する予定のSeven Seas Entertainment社・創立者のひとりジェイソン・ディアンジェリス氏は、自社HPの掲示板に登場し、その延期の理由について率直に語っている。
ディアンジェリス氏の掲示板での発言を読む限り現時点では「発売中止」が決定されたわけではない。以下はその発言の要約。
『こどものじかん』のアメリカ発売に際し、ネット上で多くの議論が交わされているのは出版元として認識している。発売を心待ちにしているファンもいれば、このマンガの内容をアメリカ発売には適していないと考えてる人も数多くいるようだ。
発売に反対する人々が問題にしているのは小学生の女の子と成人した男性である先生との関係。アメリカではまだ正式に発売されていないため多少誤解があるようだが、この関係は女の子の一方的なものであり、先生がその愛情を受け入れるわけではない。
本作品は日本でポルノ的と考えられているわけではないし、アニメ化されるほど人気がある。自分は日本同様アメリカで出版しても問題ないと考えているが、ネット上での議論を見るとアメリカでは文化的にこの本の出版を不適切と見る人もいる。
個人的には不適切であると思わない。しかしこの問題は無視されるべきではなく、公に議論されるべきものである。出版社によっては出版に際しマンガの内容を変更するところもあるが、我社はそのような“検閲”に反対する立場を取っている。そこでこの問題の議論を更に深めるために、出版の延期を決定した。
既に書店などから多くの注文を受けているが、これから一般書店、専門店とマンガの内容について話し合いを持つつもりだ。その目的はこの問題をハッキリ認識してもらいマンガの内容を知ってもらって、この作品が自分たちの店に置くのに適切であるかどうかを書店側に判断してもらうことにある。つまり延期することで、小売店側は内容とその問題点を知った上で注文のキャンセルをする機会を持てることになる。
そして我社は小売店だけでなく、ファンやこの問題を真剣に考える人々とも更に議論を重ね、多くの人の意見に耳を傾けながら良いマンガを出版していきたいと思っている。
Seven Seas Entertainmentの創設者のディアンジェリス氏やもう一人のアダム・アーノルド氏はマンガ・アニメファンとしてアメリカでは元々名の知られた方々だ。以前当ブログの「アメリカン・ヲタクのお部屋拝見」の記事で紹介したのも、このアーノルド氏のお部屋。
- 作者: 私屋カヲル
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: コミック
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追記:
当ブログ5月30日付「『こどものじかん』北米版、発売中止決定」