フォーチュン誌のアニメ記事から『エヴァンゲリオン』実写映画についての抜粋。
11月28日のフォーチュンFORTUNEに「激増するアニメ"Anime Explosion"」という記事が掲載された。北米で最大のアニメ販売会社であるAD VisionのCEOへのインタビューをメインにアニメ業界全般について取り上げ、とっても面白い記事になっているのだがとっても長い。そこで今回はその記事の中で『エヴァンゲリオン』実写映画について触れた部分のみの要約を載せることにする。
・・・ファンがアニメ番組の成功を助けることもあればその逆もある。その事を心に留め、ADVのCEOレッドフォードは常にファンを自分の周りにおくよう心掛けているのだ。
2003年以来レッドフォードは実写版『エヴァンゲリオン』の企画を検討し続けている。『エヴァンゲリオン』はオタクにとって、トレッキーにとっての『スター・トレック』と言うべきアニメ。レッドフォードはニュージーランドに本社を置くヴェータ社(『ロード・オブ・ザ・リング』三部作、新『キング・コング』など)と契約を交わし実写版『エヴァンゲリオン』がどのような外見になるのかデザインを依頼した。しかしレッドフォードはヴェータのデザインを微細に管理するというより、ヴェータに二人の熱狂的な『エヴァンゲリオン』ファンに会うことを求めたのである。
ヴェータの共同創立者であるリチャード・テイラーにとってそれは今まで経験した事も無いことだった。週に2回、ADVにいるそのファンたちと電話会議を行うことになったのだ。会議では、ヴェータの解釈による100フィートもの高さのロボットのようなもののデザインをファンたちに見せ、代わりにファンからその解釈についての博識な意見が戻ってきた。
「『エヴァンゲリオン』世界の学者とも言えるようなファンたちなんだ」とテイラーは言う。「僕たちははあのファンたちの要求に応え、承認を得なければならなかった」しかも経験した事が無い事はそれだけでは無かった。一度ヴェータとADVの協力関係が明るみにでると、ヴェータ社のメール受信箱は溢れ始めた。「『ロード・オブ・ザ・リング』で世界中から沢山のメールをもらっていたけれど、『ロード・オブ・ザ・リング』1通に対して25通の『エヴァンゲリオン』に関するメールをもらうようになったんだ。『エヴァンゲリオン』はまだ制作されてもいないんだよ。それはまだADVの廊下での内緒話や、ヴェータの通路で行われた一つの提案にすぎないんだ」
今年の7月にテイラーはサンディエゴのコミコンに参加した。以前はコミックスとSFファンの集まりに過ぎなかったコミコンも今や参加者は10万人を超える。テイラーは『エヴァンゲリオン』のプロデューサーとされている人物を昼食に連れ出し、制作を開始できるかどうか様子を打診した。それと言うのも、実写版を作るのにレッドフォードが必要と見積もる1億ドルから1億2千万ドル*1のおよそ半分の資金は既に調達できているからだ。
彼らが席に着く前に、一人のファンがテイラーを見つけた。そしてテイラーが今までしてきた事は何一つ尋ねずにまだ企画段階の『エヴァンゲリオン』について尋ねたのである。テイラーはプロデューサーの向かって言った。「これが僕らがこの映画を作らなければならない理由だよ」
- 作者: Yoshiyuki Sadamoto
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*1:現在のレートでおよそ120億円から143億円。