米「パブリッシャーズ・ウィークリー」誌の選ぶ2006年グラフィックノベル・ベスト10に日本のマンガが1作品ランクイン。

ちょっと早すぎるような気もするけれど、すっかり今年度のベスト10リストが出始める時期になったようだ。

11月10日には当ブログで「米Amazonの選ぶ“2006年度コミック&グラフィックノベル・トップ10”」を取り上げたが、今回は本の専門誌「パブリッシャーズ・ウィークリー(PublishersWeekly)」が選ぶ「2006年度グラフィックノベル・ベスト10」。前回のAmazonのベスト10と同様、売上ではなく担当者が選ぶ今年度のベスト作品ということだ。(ただし順位はついていない。)

日本のマンガで唯一ランクインしたのは望月峯太郎ドラゴンヘッド』第1巻。正直売上部数はそれほど良くないようだが、マンガ専門のサイトなどでのレビューもかなり好意的で、濃いマンガ読みからの評判がとても良い。

Dragon Head 1 (Dragon Head (Graphic Novels))

Dragon Head 1 (Dragon Head (Graphic Novels))


ところでこの「パブリッシャーズ・ウィークリーの選ぶグラフィックノベル・ベスト10」には、『ドラゴン・ヘッド』以外で、わたしが読んだことのあるコミックス2作品がランクインしていた。両方ともマンガ/コミックスファンならお薦めの作品なので、ちょっと紹介しておこう。

スコット・マクラウド氏の『メイキング・コミックス』。
あの『Understanding Comics』(訳書題名『マンガ学』)と『Reinventing Comics』に続くマクラウド氏のフィクション・マンガ3作目。本作品でマクラウド氏は、いわゆる「マンガ(コミックス)の描き方」本では触れられることの少ない、ストーリーの語り方について分析している。コマ割り、人間の描き方(表情など)、セリフ、道具など内容は広範囲に渡り、『Understanding Comics』ほどではないが、日本のマンガについても少し触れられている。

Making Comics: Storytelling Secrets of Comics, Manga and Graphic Novels

Making Comics: Storytelling Secrets of Comics, Manga and Graphic Novels

・ブライアン・リー・オマリー氏の『スコット・ピルグリム
23歳のスコットの人生はかなりうまく行っていた。仲間と一緒にやるロックバンドもなかなかだったし、カワイイ高校生の彼女もできた。でもある日、夢に見た美少女と現実に出会ってしまったのだ。ただしその彼女と付き合うには彼女の「悪の元カレ七人組」を倒さなければならない…「悪の元カレ」が出てきたあたりからの、妙なテンションの高さがツボ。(今回挙げられたのは3巻。実はこの最新刊は読んでいないので、これから買うつもり。)

Scott Pilgrim Vol. 3: Scott Pilgrim & the Infinite Sadness

Scott Pilgrim Vol. 3: Scott Pilgrim & the Infinite Sadness

ちなみにやっぱり日本産のマンガではないが、「Amazonの選ぶグラフィックノベル・ベスト10」と今回取り上げた「パブリッシャーズ・ウィークリーの選ぶグラフィックノベル・ベスト10」では、4作品が重複している。わたしは読んでいないけれど、その4作品はこちら。

・『American Born Chinese』
台湾生まれの両親を持つ一人の少年がアメリカの白人社会で生きていく姿を描く。

American Born Chinese

American Born Chinese

・『Fun Home』
同性愛者であることを隠し嘘をつき続ける父親を見つめながら、自分も同性愛だと気づく娘のお話。
Fun Home: A Family Tragicomic

Fun Home: A Family Tragicomic

・『Lost Girls』グラフィックノベル業界大御所アラン・ムーア作。少女向け文学でお馴染みのキャラクター、ドロシー、アリス、ウェンディが自らのセクシュアリティを追求していくエロティック・ファンタジー
Lost Girls

Lost Girls

・『The 9/11 Report: A Graphic Adaptation』
9/11委員会報告のグラフィックノベル化。
The 9/11 Report

The 9/11 Report

読みたいマンガは世界に溢れてるよ…