「日本アニメ・マンガファン」を意味する侮蔑的俗語「WAPANESE」

ある英語学習雑誌の「海外での日本アニメ・マンガ人気」特集の中にアメリカでのマンガ用語解説が掲載されていた。紹介されたマンガ用語の中には「Shonen-Ai(少年愛)」「Kawaii(可愛い)」などに混じって「Wapanese」という英単語があって、意味は「People who are manga fans(マンガのファン)」となっている。

確かに北米のアニメ・マンガファンと話をすれば本当に shonen-Ai、kawaii、yuri、hentai、yaoiなどの言葉が普通に出てくる。でも語学学習雑誌がそれらの単語と同じレベルで単に「マンガファン」としてこのWapanese (ワパニーズ)を紹介するのはかなりマズイ。

例として、日本人が白人アメリカ人と英語で会話をしていて相手が日本マンガのファンだとわかった場面をあげてみよう。

So you're an otaku, aren't you? (そうか、君はオタクなんだー。)

この場合もし相手が濃いファンだったりしたら、むしろこう言われた事を喜んでくれるかもしれない。
しかし同じ状況で、

So you're are a Wapanese, aren't you? (そうか、君はワパニーズなんだー。)

と言ったら、相手が誰であれバカにしていると取られても仕方ない。

Wikipedia/Englishによると、Wapaneseは

日本や日本文化にはまり、自分が日本人だったらよかったのにと考える白人のことを指す軽蔑語。日本アニメ・マンガのファンに対して最も良く使われる。WhiteとJapaneseをあわせた単語で、黒人のように振舞う白人を指す言葉Wiggerを真似て作られた。

俗語の辞書Urban Dictionaryでは次の項目に2つ以上当てはまるようならWapaneseになる、と定義している。

  1. 日本の子供向けアニメに不健康なまでに入れ込んでいる。
  2. 日本に一歩も足を踏み入れたことも無いくせにアメリカ文化は全ての面で日本文化に劣ると思っている。
  3. 生半可に日本語を勉強している。その上/または武術をかじっている。
  4. 刀のコレクションをしている。
  5. 童貞・処女。
  6. 黄熱病Yellow Fever(アジア系のもの―特に女性―に性的に異常に惹かれる西洋人の精神的状態)の末期的症状に罹っている。
  7. コスプレをして歩き回る。

更に“アニメを見る人”と“Wapanese”の違いを、「前者はアニメを見るだけだが、後者は日本人になりきろうとしたり、日本で生まれたり育ったりしたと思い込む」、「前者はたまにはアニメからのセリフを使うこともあるが、後者はアニメから正しくない日本語を学び英語と混ぜて使う」などと解説している。
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Wapaneseと比べるとOtakuは、北米アニメ・マンガファンの間では良い意味で使われる場合も多い。上に挙げたWikipediaUrban Dictionaryでも日本でオタクは否定的な意味が強いことが書かれているが、北米のファン同士では単に「濃いアニメ・マンガファン」や「アニメ・マンガの知識を豊富に持っている人」という意味で使われることにも言及している。ただし日本の本来の意味を知っている北米ファンも多いので使用する時には注意が必要。

上の例で言うなら

So you're a manga fan, aren't you? (そうか、君はマンガファンなんだー。)

と言うのが無難かもしれない。