宮崎アニメ強し!『ハウルの動く城』北米DVDセールストップ10圏内に登場。(+宮崎アニメDVDは何故強いか?)

ICv2の3月29日の記事"'Howl's Moving Castle' DVD in Top Ten :On Video Business Sales Chart"より。

ディズニーから販売されている宮崎駿監督最新作『ハウルの動く城』2枚組みDVDがVideo Business Magazine発表のDVD売上チャートで発売開始の週に9位にランクイン。続いて第2週には2つだけランクを下げて11位に留まった。

同監督作品『風の谷のナウシカ』DVDは、昨年のNeilson Videoscanのリストで発売開始の週に14位にランクイン。結局昨年のアニメ部門の売上1位のDVDとなった。今年は『ハウル』が昨年の『ナウシカ』同様、高い売上を誇ることになるかもしれない。

ハウル』DVDに同封された宣伝チラシには、ディズニー/ブエナ・ビスタから発売されている11のスタジオ・ジブリ作品、Vizによる「スタジオ・ジブリ・ライブラリー」と銘打った『ハウル』『となりのトトロ』のフィルム・コミックス、絵本、アートブックが紹介されている。『ハウル』DVDの売上を考えると、アニメを扱う小売店にとって宮崎関連商品を店頭にディスプレイするのに今がちょうど良いタイミングと言えるだろう。

ハウルの動く城 特別収録版 [DVD]

ハウルの動く城 特別収録版 [DVD]

ICv2の記事の要約は上記の通り。しかし宮崎アニメDVDのこの強さは何なのか?実際北米での劇場興行成績を見ると驚くほど良くないにもかかわらず、DVDはちゃんと売れている。

東京国際アニメフェアのシンポジウム「進化する欧米のアニメ市場と日本企業の戦略」によると、成長の止まった北米DVD市場の中で、子供向けDVDだけ右肩上がりということだった。管理人ceenaがアメリカに住んでいた当時見た、ディズニーによる『千と千尋の神隠し』TVスポットは特に子供向けという感じではなかったが、実際ディズニーが販売しているということで、宮崎アニメも純粋に子供向け映画と受け取られているのかもしれない。

更に、同シンポジウムの質疑応答時間に出された質問に以下のようなものもあった。(うろ覚えなので大体の趣旨として、読んでください。)

宮崎アニメがアメリカで強いのは、一見作品が良いからと思われがちだが、そのことに加えてディストリビューターとしてのディズニーの力が大きいのでは?これからアニメを北米で発売していく上で良いディストリビューターと組むのが必要になっていくのだろうか?

アニメ!アニメ!さんの「進化する欧米のアニメ市場と日本企業の戦略:レポート(3/24)」のコメント欄にあるように、シンポジウムに参加したWowmax Media!の海部正樹氏はこの質問に「良い作品と力のあるディストリビューターの両方が必要」と答えた。

ディストリビューターとしてのディズニーの力が宮崎アニメDVDの売上に貢献していたのは間違いないようだ。しかし海部氏はこれからディストリビュートの方法が変わってくるかもしれないことにも言及していた。

従来のDVD販売形態とは別にiPodなどへの配信サービスを始めた会社もあるからだ。当ブログの去年11月13日の記事「アニメ、お持ち帰りです:NYタイムスの記事より。」では、セントラル・パーク・メディア(CPM)がアニメ1話あたり1.99ドルで配信サービスを始めた事を取り上げている。シンポジウムで海部氏は、現在のところこのようなサービスをしているのはCPMだけと言っていたが、これから増えていく可能性が高いと見ているのだろう。

つまりディストリビュートの形態が変われば、必ずしも大手と組まなくてもビジネスチャンスはある、ということかも。

話題変わって、今日夕方何気なくテレビを付けたら、ポップ・ジャパン主催のアメリカ人向けオタクツアーの事を取り上げていた。昨日の記事「ショート・ドキュメンタリー「アニメ in アメリカ」:昔アメリカで日本アニメはどうやって手に入れられていたか?」のインタビューに登場したアイザック・ルー氏がガイドさんとして登場。ちょっとした偶然。