米マンガ出版社Tokyopop、包括的レイティング・システム導入(その2)
当ブログ2月20日付けの記事 「米マンガ出版社Tokyopop、包括的レイティング・システム導入」で取り上げたように、『フルーツバスケット』『ラブひな』などをアメリカで出版するTokyopopは、今年の秋から、自社の発売するマンガに今までの「対象年齢表示マーク」に加えて「内容表示マーク」も付けるという包括的なレイティング・システムを導入する。
前回お伝えした時の業界向けニュースサイトICv2の記事では今ひとつはっきりしなかったが、Publishers Weekly(パブリッシャーズ・ウィークリー)の記事「Tokyopop Bows New Ratings」によると、今回のレイティングはTokyopopが独自に製作し、独自に実施するもので業界全体としての取り組みではない。Tokyopopのマイク・カイリー氏は「このレイティングが業界のスタンダートとなるか?」と全米図書館協会で聞かれると、「そうなると良いと思うが、それが本来の目標というわけではない」と答えている。
そして従来の「対象年齢表示マーク」に加えて「内容表示マーク」を併記することになった理由について、Tokyopopのレイティング製作を助けた図書館員で作家のゴルマン氏は、「対象年齢だけ表示してあっても、そのマンガがどうしてその年齢を対象としているとしたのかその基準がわかりにくい。内容を示したマークと併用することで、本を手に取る人がより客観的な判断がしやすくなる」という趣旨の発言をしている。
Tokyopopは、現在のアメリカでのマンガのフォーマットを確立し、その人気に火をつけたという点でパイオニアと呼ばれることも多い。加えて自社のHPを「mixi」タイプにしてマンガ・コミュニティの盛り上げを目指したり、アメリカ産のオリジナル・マンガをいち早く発売したのもTokyopopだ。
上記のPublishers Weeklyの記事で、そのパイオニアの次なる目標はと聞かれたTokyopopのカイリー氏の答えは「マンガのグローバリゼーション」。そして「自分たちのマンガ・コミュニティが世界中の創造的なマンガ家にとって魅力的なところになること」。CEOで創設者のスチュゥアート・レヴィー氏は「デジタル配信」と答え、「マンガは文字通り、ページから飛び出してコンピューター、携帯、テレビ、ファッション、劇場へと入っていくだろう」と加えた。
下はICv2に掲載されたTokyopopによる新レイティング・システム。教育を受けた個々のTokyopopの編集がまずマンガにレイティングを付け、その後Tokyopopのレイティング委員会とマーケティング担当が最終的な判断をして決定する、ということだ。
(ちょっと訳がこなれていないところはご容赦を。それにしても“ファンサービス(fanservice)”って言葉が下↓に普通に使われてるし…)
- A = All Ages(全年齢対象)
Cartoon Violence(マンガ的暴力)
Potty Humor(子供向けユーモア)←訳がちょっと苦しい…トイレ的下ネタのこと。
Slapstick Humor(スラップスティック・ユーモア)
- Y = 10+(ヤング・10歳以上)
Mild Language(軽めの乱暴な言葉)
Fantasy Violence(空想的暴力)
Bullying(いじめ)
- T = Teens 13+(ティーン・13歳以上)
Moderate Language(ある程度の乱暴な言葉)
Aggression (ケンカ)
Mild Violence(軽めの暴力)
Mild Gore(少量の血)
Crude Humor(下品なユーモア)
Sexual Innuendo(性的なほのめかし)
Mild Sexual language(軽い性的な言葉)
Non-sexual Nondescript Nudity (非性的であからさまでないヌード)
Mild Sexuality/Sexual Themes(軽い性的表現・テーマ)
Mild Fanservice(軽いファンサービス)
Tobacco Use/Reference(タバコの使用・タバコの言及)
Alcohol Reference(アルコールの言及)
Illegal Drug Reference(違法ドラッグの言及)
Occultism(オカルティズム)
- OT = Older Teens 16+(オールダーティーンズ・16歳以上)
Strong Language(乱暴な言葉)
Moderate Sexual Language(ある程度の性的な言葉)
Moderate Violence(ある程度の暴力)
Moderate Sexual Violence(ある程度の性的暴力)
Moderate Gore(ある程度の血)
Non-sexual Partial Nudity(非性的な部分的ヌード)
Non-sexual Full Body Nudity(非性的な全身ヌード)
Sexual-Partial Nudity(性的な部分的ヌード)
Sexual Nondescript Nudity(性的なあからさまでないヌード)
Sexual Humor(性的ユーモア)
Representation of Pornography (ポルノ的表現)
Moderate Sexuality/Sexual Themes(ある程度の性的表現・テーマ)
Moderate Fanservice(ある程度のファンサービス)
Alcohol Use(アルコールの使用)
Illegal Drug Use(違法ドラッグの使用)
- M = Mature 18 + (shrink wrapped; content advisory label on cover)(成人向け18歳以上 + カバーに警告マークの付いたビニールがけ)
Excessive Language(過剰に乱暴な言葉)
Explicit Sexual Language(露骨に性的な言葉)
Intense Violence(激しい暴力)
Explicit Sexual Violence(露骨に性的な暴力)
Excessive Gore(過剰な血)
Sexual Full Body Nudity(性的な全身ヌード)
Explicit Sexuality/Sexual Themes (露骨に性的な表現・テーマ)
Incest(近親相姦)
Explicit fanservice (露骨なファンサービス)