フランス最大のコミックス賞で水木しげる氏の作品が選出。

ちょっと古い記事だけれど、ご容赦を。1月25日から28日にわたってフランスのアングレームで開かれていたフランス最大のコミックス・イベント「アングレーム国際バンド・デシネ祭」で開かれた「コミックス賞」の「ベストコミック賞」部門で、日本の水木しげるの『のんのんばあとオレ』が選ばれた。

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)

15に及ぶ部門賞の中のメインでもある「ベストコミック賞」では44作品のノミネート作品のうち8作品、そして「コミックヘリテッジ賞」(文化的遺産としてのコミックスを選出する賞)ではノミネート作品6作品のうち3作品が日本のマンガだった。ただし受賞したのは『のんのんばあとオレ』のみ。

「ベストコミック賞のノミネート作品」

『刑務所の前』花輪和一 
『ギョ〜うごめく不気味〜』伊藤潤二 
『脂肪という名の服を着て』安野モヨコ
ジャカランダしりあがり寿 
『キーチ!!』新井英樹 
のんのんばあとオレ水木しげる 
『魔女』五十嵐大介 
ジパングかわぐちかいじ 

「コミックヘリテッジ賞のノミネート作品」

ゴルゴ13』さいとうたかお
『ハトよ天まで』手塚治虫
『光る風』山上たつひこ



「アニメ!アニメ!」さんの「フランス アングレーム公式作品に日本漫画多数選出(1/24)」から引用させていただきました。

日本では誰でも知っている「水木しげる」の名前も、海外ではマンガファンの間でも有名とは言い難い。ヨーロッパではともかく英語圏では現在のところ入手可能な水木作品はほとんどないと思う。これをきっかけに水木先生の作品がもっと海外ファンに触れられる機会が増えるといいのだが。(とは言え、自分も『のんのんばあとオレ』は未読です。ダメじゃん。)

どちらかと言うと芸術的志向の強い今回の賞だが、「Comic Reporter」ではフランス国内で出たこの賞に関する記事が「水木しげる氏を個人のマンガ家としてではなく、フランスに新しくやってきた文化の代表」としてとらえ「フランス語圏の市場では多くの人が、芸術というよりも単純化した表現を多用する消費者文化のマンガに対して脅威を感じている」と取り上げている。それを受けて、アメリカの硬派コミック評論誌「Comic Journal」のブログも「マンガの登場が市場の大きな現象となり、国内市場がその状況と格闘しているのはアメリカも同様だ」と書いている。