ストーリーを変えられた北米版『学校の怪談』が米アニメ誌の「ベスト吹替え賞」受賞。

ICv2の記事「ADV FIlmsのスティーブン・フォスターが『OUT Magazine』で表彰("ADV's Stephen Foster Honored in 'OUT Magazine'")(11月17日)より。

北米でのアニメ・ディストリビューターであるADV Filmsが手がけたアニメ『学校の怪談』(英語題名『Ghost Stories』)が、アメリカで発売されているアニメ専門雑誌『Anime Insider』によって「今年のベスト吹替え作品」に選ばれたということだ。

当ブログでもかなり前に(2005年8月22日)に「『学校の怪談』DVDアメリカ版は日本版と違うストーリーで発売される事が決定。アメリカの熱烈なアニメファンの怒りを買うのは必至?」でも、取り上げたことがあるが、このアニメ『学校の怪談』の吹替えは北米のファンの間では賛否両論を引き起こした。

ICv2の記事では「コアなファンはこの吹替えをアニメ版『What's up, Tiger Lily』*1であり、“まがいもの”と呼んでいる」としている。

今回の受賞理由については記事で一切触れられていないのでわからないが、ADV Filmsではストーリーを変えるにあたって経験豊富な声優陣に頼った完全なコメディに仕上げたようなので、その声優陣の演技に対して与えられたものかもしれない。

とは言え、アメリカの視聴者の好みに合うよう吹替えを変えられたアニメの方が売上が良いことを示す資料もあるようだし、編集や改変を許せないファンの気持ちは良く分かるが、作品によってはこれからもストーリーや吹替えの変更は行われていくのかもしれない。


実は上で取り上げたICv2の記事は、「ADV Filmsのディレクターであるスティーブン・フォスター氏が『OUT Magazine』の12月号の特集“2006年を最高に面白くしてくれた100人の男女”に選ばれた」が本題。『OUT Magazine』はアメリカ最大のゲイ・レズビアン雑誌で、フォスター氏については「(アニメ)業界で働くカミング・アウトした数少ない男性の一人」として紹介しているようだ。

TVゲーム、オンラインゲーム専門サイト『Play magazine』もフォスター氏を『雲のむこう、約束の場所』『スーパーミルクちゃん』『学校の怪談』『ギルガメッシュ』をアメリカに紹介した功績で、「今年のベスト・アニメプロディーサー」に選んでいる。

↓『学校の怪談』日本版オリジナルDVD。

学校の怪談(1) [DVD]

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*1:『What's up, Tiger Lily』:ウッディ・アレン監督による1966年公開の映画。東宝映画『国際秘密警察 火薬の樽』(1964年)『国際秘密警察 鍵の鍵(1965年)』の2作品を編集でまとめて全くオリジナルと関係ない吹替えを加えたもの。