米PublishersWeekly記事「アメリカで日本のスポーツマンガは人気が出るか」

PublihsersWeekly4月18日の記事"Sports Manga Gets in the Game"より要約。

追記:元の記事は昨年の4月18日の記事です。

短い要約−時間の無い方へ。

アメリカでも最近多くのスポーツマンガが日本から輸入され始めたが、現在のところ『テニスの王子様』以外成功していないようだ。2003年に発売された『スラムダンク』が失敗して以来、スポーツマンガの成功には懐疑的な意見も多い。

長い要約−時間が取れる方へ。

アメリカ市場に輸入される日本マンガの最近の流行は、日本で人気があり影響力もある“スポーツマンガ”だ。出版社や書店はスポーツマンガがアメリカの読者にとっても魅力的であるよう祈りつつ、スポーツマンガを売り出そうとしている。

しかし1950年代以来、スポーツを扱ったマンガがアメリカのコミックス市場で人気を得たことはなかった。マンガの人気がどんどん高まったとはいえ、これから先スポーツマンガが人気を得るかどうかはまだはっきりしない。

現在までにアメリカで発売されたのは、小学校低学年から20歳までの男女の読者に向けたサッカー、バスケットボール、テニス、アメフトのスポーツマンガである。
Whistle!, Vol. 1
多くの他のジャンルのマンガのように、ストーリーは中学や高校を舞台にして、学校の競技大会などでの試合がメインとなる。異性への淡い、時にはコミカルな恋愛感情も盛り込まれ、スポーツマンガには、青年期の学校生活を中心とした人間関係、誇張されたダイナミックなアクション・シーン、それぞれのスポーツの中で最もエキサイティングな瞬間のチームの攻防が一杯詰まっている。そして、激しい運動に影響されない完璧なヘアスタイルも忘れてはいけない。

たいてい主人公はどちらかと言えば弱者の側で、(度々好きな異性にアピールするために)粘り強く一生懸命練習してチームを勝利に導く決心を固める。その典型的な例がVizの『ホイッスル!』だ。ベンチを暖めていた主人公が頑張って練習し、レギュラーを勝ち取るサッカーマンガである。

「勝ち目がないと思われる人を応援することには、何か心に訴えるものがあります」そのジャンルの魅力についてこう語るのはVizのエディターであるアンディ・ナカタニだ。『ホイッスル!』以外にも、Vizは『テニスの王子様』『紅色HERO』を出版、更に今月『アイフィールド21』*1を発売予定にしている。『テニスの王子様』は日本同様アメリカでも人気があり、Vizの最も売れているマンガの一つだ。
Girl Got Game 1
「今の子供たちはスポーツに熱中しています。そしてそんな子供たち向けのマンガはたくさんあるんです」Vizの広報担当エヴェリン・デュボックは言う。「マンガを楽しむには、そのスポーツをやっている必要はありません。女性読者は登場する少年たちがカッコいいという理由でそのマンガが好きだったりします」

TokyoPopは、高校のバスケットのチームで試合をするために男の子のふりをする女の子のマンガ『POWER』、ストリート・カーレースの『頭文字 D』、バスケットボールの『ハーレムビート』を出している。その他に、原作チャック・オーステン(『Xマン』)、マンガ大塚弘樹で、オリジナルの野球マンガ『ボーイズ・オブ・サマー』も2006年に発売する予定だ。

TokyoPopは去年、別のタイプのスポーツマンガをシネ・マンガのレーベルとして作りだした。NBAと連携し、シャキール・オニールティム・ダンカン、ケヴィン・ガーネット、ジェイソン・キッドなどバスケット界オールスターの実際の試合の写真を、マンガ形式で組み合わせたものだ。一番売上が良かったのはシャキール・オニール版。TokyoPopでは11月にあと2冊発売する。
Hikaru No Go 1
マンガで扱うスポーツは人気スポーツである必要はない。古くからある日本の碁を学ぶ少年の物語、Vizの『ヒカルの碁』はスポーツマンガとみなされることはないが、スポーツマンガと同じ魅力を持っている。試合を含む学校での生活、碁への膨らむ情熱、コミカルで魅力的な登場人物の子供たち、そして少しだけ超自然的な要素。物語はファンタジーと試合に挑む少年の精神力を取り入れ、12世紀の碁の達人の霊にとりつかれたヒカルがその霊の教えによって碁にどんどん惹かれていく様子を描いている。『ヒカルの碁』はPublishersWeekly誌の選ぶ2004年のベスト・ブックの一つに選ばれた。Vizによると若い読者層に人気があり、よく売れているということである。

しかし業界のプロに言わせると、アメリカでスポーツマンガの人気が定着するかは疑わしいようだ。取次大手Diamond Booksバイス・プレジデントのクオ・ユオ・リアンは見極めに慎重である。2003年、Diamondは『スラムダンク』を扱った。このマンガはNBAスター、パトリック・ユーイング、デニス・ロドマン、マイケル・ジョーダンなどを基にしたキャラクターが登場するバスケットボールマンガで、日本では大ヒットを記録していた。
Slam Dunk
「全然売れませんでした」リアンは『スラムダンク』の売上について語った。リアンによると『テニスの王子様』以外、スポーツマンガにはある一定規模以上の読者はいない。しかし、もし出版社であったGatsoonがマンガと一緒に、マンガを原作とした『スラムダンク』アニメのDVDを発売していたら、もっと売上は上がっただろう。そうリアンは付け加えた。マンガが2003年に発売されたのに対し、DVDはごく最近リリースされたのだ。

4月から8月にかけてスポーツマンガ7作品を発売するなど、Vizはスポーツマンガを推し進めていくつもりである。「子供たちは感情移入できるものに惹かれるのです」デュボックは楽観的に語る。「需要はあるので、人気は出ます」

↓英語版『テニスの王子様』1巻

The Prince of Tennis, Vol. 1

The Prince of Tennis, Vol. 1

*1:『アイシールド21』Vizから2006年4月末現在で7巻まで発売中。