『ブリーチ』対『ナルト』、勝つのはどっちだ?
米業界向けサイトICv2の記事「『ナルト』対『Bleach』("'Bleach'vs.'Naruto': Newcomer Can't Top the Champ")」(10月30日)より。
去年の9月にアニメ放送が始まって以来、アメリカで驚異的な売上を誇る『ナルト』マンガ。そして今年の9月にアニメ放送が始まりこちらも急激に売上を伸ばす『Bleach』マンガ。さて軍配はどちらに?というお話。
米ケーブルチャンネル「カトゥーン・ネットワーク(CN)」で2005年9月に放送開始されたアニメ『ナルト』は、グラフィック・ノベルの売上における「CN効果」の最もはっきりした例だ。
(訳註:ICv2ではCNでアニメの放送が始まるとその影響で、原作本または関連本の売れ行きが極端に伸びることを「CN効果」と呼んでいる。)
そして2006年9月にCNに登場した『Bleach』もまたその放送開始と共に、原作マンガの販売部数が増大している。とは言え、Bookscanによる放送開始後4週間の両者の売上比較では、『Bleach』1巻の売上は2005年の『ナルト』1巻の52.4%にとどまっている、ということだ。
全巻の売上で比べるとその差はこれからもっと広がると考えられる。何故なら『Bleach』は放送開始後4週間で15巻まで発売されているが、『ナルト』の場合は2005年のその時点で7巻までしか発売されていなかったからだ。つまりアニメを見て『ナルト』ファンになりマンガを全巻を揃えようとした時より、アニメからのファンがマンガ『Bleach』の既刊を全巻揃えようとするのはもっと大変なことなのだ。
『ナルト』マンガが見せたような信じられないような売上急増を『Bleach』が今後成し遂げることはできるだろうか。今これを判断するのは早すぎるかもしれない。『ナルト』1巻の販売は実際CNで放送が始まった翌々月に18%も伸びたのだ。
ただ驚くことに『ナルト』1巻の(2006年10月の)4週間の売上は、2005年の放送開始後4週間の売上の77%にも達している。しかも『ナルト』アニメ放送開始から1年以上も経ったにもかかわらず、最近アニメ放送が始まった『ブリーチ』マンガの1巻の過去1ヶ月の売上は、同時期の『ナルト』のたった68%だった。
本当は『ナルト』と『Bleach』の売上を比べるのは無理があるとも言える。少なくともアメリカのマンガ市場という点で言えば、現在『ナルト』は全ての点で一生に一度経験できるかできないかというほどの現象となっているからだ。
販売側は『ナルト』と比べることで、『Bleach』の商品として有望さ、そして同じくViz Mediaから出ている『デスノート』の潜在的な可能性を見過ごしてはいけない。
Vizは数多くの商品に『Bleach』のライセンスを発行している。『Bleach』CCG、フィギュア、ウォールスクロール、ピンバッチ、ヘッドバンドなどの小物、そしてバッグに財布などの発売によって更に『Bleach』が消費者の目に留まる機会も増えるだろう。
それにしても「現在『ナルト』は全ての点で一生に一度経験できるかできないかというほどの現象となっている」とは凄い。ということは、『ポケモン』はともかく『ドラゴンボール』の認知度は超えたということなんだろうか?
当ブログの9月26日の記事「『ナルト』の次は『Bleach』?米でアニメ放送開始で『Bleach』マンガ大人気」で取り上げたICv2の記事にも触れられていたが、ICv2としては“アニメの放送効果でマンガの売上が伸びる時、そのマンガの既に出版されている巻数が多ければ多いほど全体の売上には不利に働く”と考えているようだ。
つまりあるマンガを「買いたい!」と思った時、揃えなければならない巻数があまりにも多いとわかってしまっている場合は却ってその購買意欲をそぐ、ということらしい。その点でも『ナルト』のアニメは最高のタイミングで始まったということなんだろうか。
↓英語版『Bleach』。
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